抄読会「外来の鎮痛薬 ベストチョイスは?」

 

みなさんは筋骨格系の疼痛で外来帰宅可能な患者の鎮痛薬は何をだしていますか? NSAIDs、アセトアミノフェン、麻薬 etc はたしてどの処方が一番よいのでしょう?  今回は鎮痛薬について臨床のギモンに答える2つの論文を読んでみました。

 

1つめの論文です

***********************************

タイトル

 Management of Acute Pain From Non–Low Back Musculoskeletal Injuries

A Systematic Review and Network Meta-analysis of Randomized Trials

Ann Intern Med. 2020 Nov 3;173(9):730-738.

PMID: 32805127

 

【研究目的】

・腰痛以外の筋骨格系の急性痛に対する外来での治療効果をRCTのネットワークメタ解析を行うことで比較評価を行うこと。

 

【わかっていること】

・筋骨格系の急性疼痛に対して様々な疼痛コントロールを行なっているが、その転機は悪いことが多い。また北米で行われた患者842名の調査では約74%で疼痛が残存したまま退院している。

 

【わかっていないこと】

・急性筋骨格系損傷の治療に関する最新のシステマティックレビューでは治療法ごとの治療効果の判定、有効性の比較はなされていない。

 

【研究概要】

・腰以外の筋骨格系損傷による急性疼痛の治療に取り組むRCTの系統的レビューおよびNMAにおいて治療効果判定、有効性の比較検討を行なった。

 

【結果・新たにわかったこと】

・身体機能の改善については外用NSAIDSが最も有効であることがわかった。

・患者満足度については外用NSAIDSのみが有意に増加する。

・症状の緩和には局所NSAIDS、経口NSAIDS、アセトアミノフェン+ジクロフェナックは有効な治療法と言える。

・消化器的有害事象は経口NSAIDSに比べフェンタニル、アセトアミノフェンとオピオイド併用より低い。

・神経学的有害事象についてはアセトアミノフェン+オピオイド、フェンタニル、トラマドールの併用で多く生じる。

・有用性と有害性を考慮すると外用NSAIDS、内服NSAIDS、アセトアミノフェン、アセトアミノフェン+ジクロフェナック併用が最も扱いやすいことがわかった。

 

【今後の診療をどう変えるか】

・今までは経口NSAIDSを基本とした内服が基本だったが、患者満足度および身体機能の改善の結果を踏まえると外用NSAIDSを処方する方が良い可能性がある。

 

 

【車野先生発表】

************************************

 

ここで言う外用(本文中はTopical)NSIADsは当院だとモーラステープ®が該当します。Reviewで外用と内服を比較するおは難しいのでは?という意見もありましたが、効果があるなら出すのは悪くなさそうです。

 

2つめの論文です

************************************

タイトル

A Randomized Trial Comparing the Efficacy of Five Oral Analgesics for Treatment of Acute Musculoskeletal Extremity Pain in the Emergency Department

Pubmed URL;https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33358232/

 

救急外来で処方した鎮痛薬の効果と副作用に関して、薬物によって差があるかどうか調べた論文

 

  • 今までわかっていること:

急性疼痛のための鎮痛薬の選択は多数ある

  • わかっていないコト:

よくある5つのオピオイドもしくはアセトアミノフェンとイブプロフェンの除痛効果や副作用

  • 論文で新たに分かったこと:

筋骨格系の痛みに対して、イブプロフェンとアセトアミノフェンに対して、オピオイドを使用することは良いチョイスではない

  • 今後の診療をどう変えるか:

救急外来では、基本的に、アセトアミノフェンやNSAIDsを中心とした徐痛を行う

 

以下、論文の内容解説を自由記載[N1]

 ・400mg イブプロフェン + 1000mg アセトアミノフェン

 ・800mg イブプロフェン + 1000mg アセトアミノフェン

 ・30mg コデイン + 300mg アセトアミノフェン

 ・5mg ハイドロコデイン + 300mg アセトアミノフェン

 ・5mh オキシコデイン + 300mg アセトアミノフェン を比較

 

 ランダム化二重盲検前向き試験 600人の筋骨格系の痛み@ER受診

 

 Primary outcome:内服後1時間の段階でのNRSの推移

 Secondary outcome:内服後2時間の段階でのNRSの推移 と 副作用

 

 効果に関してはほぼ薬剤間の差はなし

 

【合田先生発表】

************************************

 

こちらは2021年のRCTです。アセトアミノフェンをベースにした比較となります。コデイン+アセトに近い本邦の処方としてはトラムセットがありますが、アセト+NSAIDsと有意差がない一方で副作用もあるのであれば、第一選択にはしにくいよねという点を再確認しました。

 

 

今回のまとめとしては、

  • まずは副作用も少ないアセトを体重当たり計算ししっかりだす。
  • 禁忌がなけばNAISDsも加える→可能ならモーラステープを追加する

 

という結論になりました。

 

みなさんの病院ではどうでしょうか?

 

 

 


 [N1](この文章やグラフだけでも理解できるように記載)

*A41枚に収めること。