Vol.41★「変化を拒むものは遠ざける」★ (2021年3月15日更新)
病院の仕組み、手術室のあり方、職員の働き方、勉強会(セミナー)のあり方、etc、人は全てにおいて保守的で、
話し合いなどしても何も変わることはない。いつも黙って笑っているだけである。
「和をもって尊しとなす」のは良いけれど、いつも事を荒立てず、鳥籠の中で鳴いている。人生には限りがある。
変化を拒むもの(人)には、あらゆる機会を駆使して遠ざけなければならない。
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Vol.40★「Standing on the giant shoulder」★ (2021年3月8日更新)
私たちが今、現代文明を生きているのは、紛れもなく全て先人の積み重ねた発見に基づいている。
私たちは「巨人の肩の上にのる矮人」に過ぎない。
これは、謙虚さを解いているものであり、「この時代を生きるものの権利」に変換して良いものではない。
まして「人の褌で相撲を取る」ことをやむを得ないことと認めるものでは、決してない。
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Vol.39★「セミナーのあり方」★ (2021年3月1日更新)
私は、今までのセミナーやコースのあり方には大いに不満があった
1、事前資料がなく、事前予習ができない
2、当日は十分に質問しろと言われる。しかし、準備が足りなくてうまく質問できない
3、そして、当日は質問に講師が答える形式をとってはいるが、まともに答えているとは限らない。
(講師の頓珍漢はよくある、能力不足も準備不足もある、横で聞いていてそう感じる)
それに質疑応答の十分な時間がない、そして何となく終わってしまう。
4、事後に質問が出てきても、もうどうにもならない、
5、事後資料がないので復習ができない、全て忘れてしまう。
6、そして、次のセミナーやコースを迎える、同じことの繰り返し、、、
討論は討論を呼び、そして理解が深まるものである
「事前」「当日」「事後」と討論しても、尽きることはない。
私は、これが本当のセミナーのあり方だと確信し、今、実践している。
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Vol.38★「論語読みの論語知らず」★ (2021年2月22日更新)
いわゆる「勉強熱心な輩」がいる
教科書に飽き足らず、たくさんの論文を読み、知識を仕入れている
色々なことを知ってはいるが、その輩の言うことは一向にこちらに響かない
クイズ大会では勝ち抜けても、困難な状況を解決することはできない
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Vol.37★「生々流転」★ (2021年2月15日更新)
昨年の2月の「(元)奈良医大救命の稲田有史先生」に続いて、今年の1月末に「(元)帝京大外傷の新藤正輝先生」が亡くなられた。
日本の外傷整形外科は平成の時代に大きく変わったが、その時代に2人はあまりにも大きな影響を与えた。
世は「生々流転」である。今も新しい人材が生まれ、そして日本の外傷整形外科を発展させていくのだろう。古きものは常に新しきものと入れ変わる。
近い将来、またいく人かの外傷整形外科医が、この業界を、そしてこの世を去っていくことだろう。もちろん「私」もである。
願わくば「死」を自ら悟るまで、「プロとして生きている」ことを望む。
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Vol.36★「鶏口となるも牛後となるなかれ」★ (2021年2月8日更新)
大きな団体の役職を辞した
「牛後」になるのが嫌で、意にそぐわないことに従うのが嫌である
面従腹背は性に合わない
清々しく、「鶏口」を楽しみたい
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Vol.35★「栴檀は双葉より芳し」★ (2021年2月1日更新)
できる者は、最初からその片鱗は大いにあると言う
「大器晩成」は、残念ながら、あまりないようだ
「長い目で見る」とは、教育の世界の王道ではあるが、
傷病者との一期一会の世界では、気長に待つことはできそうにない
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Vol.34★「マニュアル化の罪悪」★ (2021年1月26日更新)
「医療の質を担保するため?」に「手続き」や「マニュアル化」が盛んに行われている。
これは「チェーン店のそれ」と同じであり、「ハリボテ医療」であり、「cooking book治療」である。
一度、これに陥った人間は、ずっとこのままである。
ここから抜け出し、自立性を取り戻す医療者はほとんどいない。
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Vol.33★「迎合への反論」★ (2021年1月18日更新)
そもそも、命令権者の「ハラスメント」は良くない。当たり前のことだ。
それは資本家が労働者を搾取することがダメなことと近似している。
しかし、その成り行きとしての「社会主義(不適当な平等主義と不適当な権利要求)」は社会を破壊させてしまった。
昨今、医療レベルは確実に低下していることを、誰もが知らないふりをしている。
ダメな医者とダメな医療従事者が、その元凶である。
「昭和の良さ」がわからない人間が、「平成」を通り越して「令和」の時代を崩壊させている。
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Vol.32★「2つの目標」★ (2021年1月12日更新)
私の今年の目標は2つあります。
一つは勿論、「湘南鎌倉と札幌東徳洲会」における治療アベレージを上げることです。
もう一つは、「骨折治療」と「重度四肢外傷治療」の新しい書籍を出すべく、原稿を書き溜めることです。
伝えたいことはたくさんあります。
発刊は2022年を目指します!
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Vol.31★「今年もよろしくお願いします」★ (2021年1月4日更新)
令和3年になりました。
昨年はCOVID-19に翻弄された1年でしたが、その中でも外傷患者は発生します。
我々の整形外科外傷センターでも、昨年1年間で1500例ほどの手術加療をさせていただきました。関係諸氏のご尽力に感謝します。
今年もまだCOVIDは収束しておりませんが、粛々と整形外科外傷治療に専念していく所存です。
今年もよろしくお願い申し上げます。
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Vol.30★「やはり変わらぬ、変えられぬ」★ (2020年11月2日更新)
11月1日、大阪都構想がまた否決された。
やはり、現状を変えられない民族傾向が、ここにも現れている。
本当に、変わらない、変えられない!
病院も、外傷医療も! etcも!
多くが全体主義もどきで行動しながら、その実は利己主義だからなのだろう。
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Vol.29★「医療の肌感覚」★ (2020年10月26日更新)
イチローの言葉が外科医の心に突き刺さる。
「やっぱり自分の経験から得たもの、肌感覚で得た経験って、すごく強いと思うんですよね」
「どれだけ頭の中に情報を詰め込んでも、肌感覚で持ってないと弱いんですよ」
外科医が経験する事例には限りがある。
論文を渉猟し、セミナーで他の事例を学び、自らの知見とすべく努力しているのだろうが、
肌感覚レベルになるかどうかは本人次第である。
程度の問題はあるが、「色んなことを知っているが、実例に活かせない人」は驚くほど多い。
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Vol.28★「どこでもドア」★ (2020年10月20日更新)
サントリーBossの宣伝に「どこでもドア(どこでもワークス)」がありますね。
まさに今その時代になっています。
でも、最近聞きました。
「どこぞの学会で、来年は、完全集会型で開催し、WEBは使用しない」と。
典型的日本人だなー!と思います。
また元に戻ってしまうのです。
決別の時です。
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Vol.27★「今後の目標」★ (2020年10月12日更新)
医師を30年以上やってきました。整形外科外傷治療の専門部門をいくつか構築してきました。
今後の目標は、次の3つの本を世に送り出すことです。
① 「重度四肢外傷治療の実際」:2017年に出した「標準治療」の発展的実践本
② 「骨折治療講義」:一般的骨折の標準的治療についての講義録!
③ 「難治骨折への対応」:各難治骨折に対する講義録!
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Vol.26★「セミナーの問題」★ (2020年10月5日更新)
医療業界にはたくさんの「セミナー」「コース」があるが、そこで話されていることが正しいとは限らない。
しかし、「教えるもの」「教えられるもの」の関係から、その正誤に関わらず、見かけ上の納得をせざるを得ない。
この繰り返しには、もう辟易している。
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Vol.25★「ゆっくり、丁寧、安全、はない」★ (2020年10月1日更新)
いつも仕事は急がせている。手術ももちろん急がせている。
早いということに、特別な意味があるからだ。
早くやるためには、想定されている方法がよく見え、自分の手技が洗練されていなければならない。
準備と努力が必要であり、その結果が良いことは自明なことだ。
医療は「ゆっくりと、丁寧に、安全に」などという輩がいる。
手際よくやる能力がないだけである。
「ゆっくり、丁寧、安全」はない
「早く、丁寧、安全」があるのみである。
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Vol.24★「本当の医師働き方改革」★ (2020年9月23日更新)
2024年度から「医師働きかた改革」が施行されるとのことで、某病院では「改革委員会」が設けられ
討論が始まったとのことである。無駄な時間にならなければいいが、、、
そもそも、「医師の働きかた改革」とは無駄を省くことそのものに相違ない。
とにかく医療には無駄が多い、「検査待ち時間の無駄」「処置準備時間の無駄」「手続きの無駄」
「不要カルテ記載の無駄」「手術待ち時間の無駄」「手術準備時間の無駄」「無駄な委員会」
「無駄な書類」etc、とにかく無駄のオンパレードである。
「プロフェッショナルである医師(見習いではない)」があらゆる無駄を省かれるとき、
労働時間は半分になり、仕事量は倍になることだろう。
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Vol.23★「プロの仕事を阻害する愚」★ (2020年9月14日更新)
外科医が行う手術は「究極のプロの仕事」である
手術加療に齟齬があれば、それは傷害罪である
そして、その究極の仕事を阻害することも、傷害罪である
適切な場所を用意できない
様々な理由と準備不足で治療が遅れる
あらゆる要因でサポートが不十分
このままで良いわけはないことは当たり前のことである
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Vol.22★「Richard Says Goodbye」★ (2020年8月31日更新)
「Richard Says Goodbye」は「末期肺癌患者の死への準備」を描いたジョニー・デップ主演の映画である。
誰もが死を意識せずに(多くは無駄な時間を)生きている。
「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」
そろそろ本当にわかってもいい頃だ!
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Vol.21★プロの仕事をするということは?★ (2020年8月24日更新)
プロが矜恃を持って仕事をするためには「御膳立て」が必要である。
高いレベルで効率的な「整形外科外傷治療」を展開するためには、あらゆる阻害要因を取り除く必要がある。
しかし、日本の総合病院で、整形外科外傷の「(救急)外来体制」「手術体制」「病棟体制」が十分に機能しているところは存在しない。
誰もが状況に疲れ、体制改善に諦めている。
さらに、今、COVIDの影響で、体制阻害に追い討ちをかけている施設もある。
プロを自認するのであれば、この状況を容認するわけにはいかない。
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Vol.20 ★Walkingは良い★ (2020年8月17日更新)
私はいつも朝3時から4時に起床している。
4時からの症例チェックが日課である!
7時にカンファレンスが始まるまでの貴重な時間に余裕はないが、
たまたま、5時から少々walkingをする時間があった。
夏の朝は良い、明らかに、心身ともに洗われる感じがしている。
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Vol.19 ★情動による行動★ (2020年8月11日更新)
また、日本の一番長い日がやってこようとしている。
私は真に悲惨な過去を知らない。
私は日本の高度成長とともに、穏やかに昭和・平成と生きてきた。
悲惨ではなく、上昇気流に満ちた、そこそこの時代であったと思う。
平成から令和になり、社会は停滞し、むしろ腐敗化してきた。
しかし、災難や悲劇は今も起きている。
そして、人は、それに抗おうとして、情動を感じている。
皮肉にも情動は生きがいになる。
願わくば、利己的な欲望による怠惰な行動ではなく、
情動による行動をしたい。
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Vol.18 ★良い質疑応答★ (2020年8月3日更新)
良い質疑応答こそが医師の技量を伸ばします。それゆえに最良の教育手段と考えています。
ところが、色々なタイプの質問があります。例えば、、、
● 今一つの質問 「〇〇はどうしてですか?」
● 良い質問 「〇〇の理由は、〇〇ということですか?」
良い質問には、質問者が考えた背景が含まれています。 そして、「指し示す対象」や「理由との因果関係」が明快です。
良い質疑応答を簡潔明瞭な文章で行うことは、何と発展性のある教育風景でしょうか。 知りはしませんが、
「松下村塾で行われた質疑応答」はおそらくこの様なものだったに相違ありません!
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Vol.17 ★評価を期待しない★ (2020年7月27日更新)
私は、とりあえずは「良かれ」と思って、セミナーやミーティングを開催していますが、それに対する反響や評価は様々です。
しかし、反応を見て一喜一憂するのは無駄なことです。
「自分で好きでやっている」と思えば、どのような評価でも関係がありません。
反響により自分の趣旨を曲げることは、後悔とmotivation低下につながります。
私には、そのようなことをする時間はないのです。
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Vol.16 ★Peer Review Meetingをする地域としない地域★ (2020年7月20日更新)
医療にはPRM (Peer Review Meeting )という、その治療の良否を他の専門家が考査するという会議があります。
重傷な四肢外傷ですと専門家が少ないので、その地域の独善的な治療になりがちです。そこでPRMというわけ
ですが、少ない専門家がmeetingのために現地に移動することを考えると、数多くは開催できません。
ところがCOVID蔓延の影響で、幸か不幸かたくさんのPRMがWebで開催できるようになりました
(考えてみればもともとできたのです)。
PRMを開催し参加すれば、理解と技量のアップにつながり、それが患者さんに幸福をもたらします。
しかし、逆は残念です。非開催、非参加は、何ももたらしません。貧富の差は拡大するばかりですが、
参加しない医師はそのことに気がつきません。不幸になるのは顧客である患者さんばかりです。
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Vol.15 ★そろそろ分かっても良い頃だ★ (2020年7月13日更新)
○月○日、あるWeb Seminarがありました。
COVID-19は再度蔓延し、向こう1年間の情報交換は「web」になるでしょう。
これは、「積極的に利用しようとする人」にとってはまたとないチャンスです。
セミナーの価値は質疑応答の質で大きく変わります。
しかし、「質疑応答」時間は取っているものの、今の形式では不十分です。
セミナーを開催する側の人間は、そろそろわかっても良い頃です。
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Vol.14 ★医師の学びとは何か?★ (2020年7月6日更新)
患者さんを救う知識と技術を会得する「医師の学び」は常に主体的でなければ身にならない。
学びの方法の一つは「セミナーの受講」だが、セミナーにおける「主体的学び」とは何だろう?
参加者が抱く「疑問点」に対する質疑応答の繰り返しが「主体的学び」である。
効果的セミナーとは、①明確で示唆に富んだ講義内容、②復習を可能にする「資料提供」、③質疑応答が継続的に
可能な仕組み、である。しかし、そのようなセミナーは存在しない。
私は講師の立場として、「資料提供」と「質疑応答の場」を求めることがあるが、賛同は通常得られない。
私に残された時間は多くない。独自にセミナーを企画し運営するのみである。
例えば、手部外傷を討論するサロン(構築中)
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Vol.13 ★AIがもたらす人間と社会の未来★ (2020年6月29日更新)
日本整形外科学会特別講演で、新井紀子先生の「AIがもたらす人間と社会の未来」を拝聴した。
先生は、鉄腕アトム誕生のような「シンギュラリテイ(技術的特異点)」は理論的にやってこない、
AIは意味を解することはできない、と言う。
しかし、AIは将来人間の仕事を奪うとも言う。意味を解する能力が低い人間は将来、職を得ることができないのだ。
さて、医師はどうだろう? 噛み合わない質疑応答を聞いていると危ない気もしてくる。正しい質疑応答は、
相手の意味するところを正しく理解することから始まる。
我々がWorkplaceを通して施行している毎日のdiscussion、常に正しく理解する「良い訓練」になると
あらためて感じた次第である。
講演中の新井紀子先生
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Vol.12 ★日本整形外科学会会長講演★ (2020年6月22日更新)
第93回日本整形外科学会「丸毛会長」の講演「幻の福岡開催計画」を拝聴しました。 数年前から着々と
準備してきた.ことが良くわかります。もし開催されれば、非常に素晴らしいイベントになっていたことでしょう。
丸毛会長は、「COVID により学会のあり方のパラダイムがシフトしてきている」と述べられていました。
つまりはonline開催の効果です。
今後は、実際のイベントとonlineの「ハイブリッド開催」が落とし所だろうと推察します。 これは全ての
学会やセミナーに言えることです。是非、来年度からはそうなってほしいと思います。
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Vol.11 ★日本整形外科学会がonlineになった幸運★ (2020年6月15日更新)
日本整形外科学会がオンラインで始まりました。オンラインになることは主催者としては非常に残念な
ことなのでしょうが、参加者の一意見としては非常に「幸運」なことです。
なぜなら、今までは4日間の開催で、十数以上の会場での同時開催でしたので、聴講には大きな制限が
あったのですが今回は無制限です。自分が必要なだけ聴講し知識を得ることができるのです。
これがどれほどの価値があることなのか、会が終了した後にまたコメントを述べたいと思います。
しかしながら、「プレゼンの質」や「討論の設定」など、まだまだqualityが低いと感じます。残念ながら、
付け焼き刃的開催の雰囲気が漂います。
好むと好まざるに関わらず、学会のあり方は変化しました。しかし、来年以降はまた元に戻ることでしょう。
開催者が考える開催価値が、「知識の普及」よりも「パフォーマンス」にあるからです。
これは残念だけれども仕方のないことです。有志が別の企画で教育を変えることに期待します。
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Vol.10 ★ゴッドドクター「徳田虎雄」★ (2020年6月8日更新)
山岡純一郎氏によるゴッドドクター「徳田虎雄」なる書籍がある。
「神になりたかった男徳田虎雄」の加筆版であるが、最初の「シチリア」の件には度肝を抜かれる。
関係する誰もが読む本であり、なぜこの施設が今存在するのかがわかる。
Key wordは出自、差別、憎悪、熱病、興奮、躁病、強欲、、、
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Vol.9 ★外科医とシェフ★ (2020年6月1日更新)
「外科医」は「シェフ」である。
「料理人」は修行のために「高級レストラン」に入職し、「シェフ」に師事する。
目標は「シェフ」の料理を会得するためであり、その中で自分の味を模索する。
しかし、そこには「シェフ」の味があり、自分の味は披露できない。
斯くして、自分の味を確立した「料理人」は自分の店を構え「シェフ」となる。
「外科医」も同じである。
自分の治療を確立した「外科医」は、最終的には自分の部門を構えるのが「道理」である。
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Vol.8 ★マイクロとイリザロフ★ (2020年5月25日更新)
重症な四肢外傷を治療するために、世の中には色々な医療技術がありますが、マイクロサージャリーという組織「移植術」と、
イリザロフ法という組織「移動術」はその代表的なものです。
しかし、代表的なこの2つの医療技術の両方とも、高いレベルで駆使する医師はほとんどいません。どちらかに偏ってしまうのが現実です。
事例によっては、どちらかの方が適当であったり、両方の良いところを組み合わせる融合治療が理想的ですが、そうはなりません。
それは「本当の意味」でもう一方の治療を理解していないからであり、実際に自分で手がけないものは、話を聞いたり、
本を読んでもわからないものです。また専門家は他の専門家を受け入れられないという、強い職人気質がイリザロフとマイクロの融合を妨げています。
このような状況を少しでも解決するために、数年前から「イリザロフ・マイクロサージャリー研究会」というものを開催してきました。
今回はその番外編であり、各専門家による座談会的なものを計画しました。
今回登場した専門家は、かなり物分かりの良い(失礼!)面々ですが、それでも誤解している部分が多々あるように感じました。
結局のところ、事例を通した「peer review meeting」を積み重ねていくしかありません。
5月24日開催のイリザロフ・マイクロサージャリー研究会
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Vol.7 ★AOTrauma Webinar★ (2020年5月18日更新)
外傷整形外科教育は日本の大学では不十分ですが、幸いにも「AO」という骨折治療の国際的教育研究団体があります。
多くの整形外科医がAOで学んでおり、日本の外傷整形外科教育はAOに支えられてきたと言っても過言ではありません。
AOは教育コースを開催しており、それを終了すると上級会員となりますが、その継続教育の一つにAOTrauma Webinarがあります(もちろん英語です)。
日本語での開催はあり得なかったのですが、本年5月からAOTrauma Webinarの日本版が始まりました。それは今回のCOVID-19の影響で、
AO Foundationが各国独自開催のWebinarを奨励し、今回の実現に至ったわけです。
私も5月22日に「開放骨折の治療」について講演させていただきますが、勿論、今年だけでなく、来年からの永続開催を目論でいます。
5月22日開催予定のAOTrauma Webinar
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Vol.6 ★COVIDの環境でも勉強★ (2020年5月11日更新)
先週5月9日土曜日に「北海道整形外科外傷セミナー」を開催しました。COVIDだから「Stay Home」なのでしょうが、
生涯学習が求められる医師は自習に明け暮れることなく、常にセミナーで新しい情報を仕入れていきたいものです。
この会は、北海道大学整形外科の岩崎教授と相談し、主として同大学の若手医局員を教育する趣旨として計画されたものです。
当初は50名ほどの参加予定でしたが、Webとなったことで、結果的に200名以上の参加がありました。
札幌徳洲会と札幌東徳洲会の外傷整形外科医に講師を務めてもらい、昼の12時から18時まで15個のレクチャーを行いましたが、
いささか詰めすぎだったかもしれません。
もう、3月の下旬からwebセミナーを20以上開催しました。たくさんやっていると、いつの日か行き詰まってくるだろうと思います。
近い将来COVIDによる制限が解除された際には、実際のセミナーとwebセミナーのバランスをとる時代がやってくることでしょう。
北海道整形外科外傷セミナーのリーフレット
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Vol.5 ★難しい役割分担の決断★ (2020年5月7日更新)
「COVID-19」は社会の営みを脅かしています。鎮静化することが今の一番の課題であり、それなしには次の時代は訪れません。
しかし、医療は「COVID-19治療」だけではありません。その何百倍もの日常診療があり、その中には特定の施設と部門にしか
できないものがあります。
残念ながら、一つの病院で「COVID-19治療」と「専門治療」は両立しません。「COVID-19治療」を選択すれば、専門治療は困難となり、
部門は評判と信頼を失い、後退を余儀なくされます。
なぜ、役割分担ができないのかと思います。中国のように新しい病院は建設できませんが、「しかるべき事情」の病院を接収し、
役割を付与し、人的、金銭的資本を投入することはできます。そうすれば、専門部門は専門治療を継続することができるのです。
しかし、そうはなりませんでした。ドラスチックな決断は日本人には困難です。残念なことだと思います。
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Vol.4 ★危機感と民間意識★ (2020年4月27日更新)
COVID-19により、各業界は大きな経済的打撃を受けています。
こういった危機的状況において、「民間」と「親方日の丸」とでは意識が大分異なるのだろうと思います。
学校なんかも国公立に比べて民間の学校は焦っています。生き残るためには、工夫の上に工夫が必要です。
実は病院もそうです。COVIDで忙しいと思っているかもしれませんが、その何十倍、何百倍の日常診療があり、
それが大きな制限を受け、患者的・経営的打撃となっています。
2000年始めに夕張市は財政破綻しました。最後は国が助けてくれると、地方交付税をあてにして「粉飾決算」を生み続けた結果です。
安易な助けさえなければ真剣になって対策を考えていたはずです。
危機感を実感しないトップには、結局は何も変えることができませんし、何も生むことができません。
理想的な「外傷整形外科治療」を続けるには、工夫ある対策が常に必要であり、「ボーっと」していてはどうにもなりません。
誰もいない札幌ファクトリー
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Vol.3 ★Web Seminarの効用★ (2020年4月24日更新)
昨今のCOVID蔓延により、本当にたくさんの学会やセミナーが中止となりました。外傷整形外科に関係するところでは、
各種AO courseやseminar、EOTS(救急整形外傷シンポジウム)、日本手外科学会、日本創外固定学会、日本整形外科学会、
骨折治療学会、それこそ何から何まで全てが中止となりました。
しかし、どのような状況においても、外傷整形外科の医療情報を提供・交換する手段はあります。それはweb systemの使用です。
このsystemを使用すれば、ほとんどの会は何らかの形で開催できます。しかも、実は効用も非常に大きいのです。
昨今、あまりにも学会、研究会が多くなりすぎました。整理をしないで出席していると学会輪廻に苦しむわけですが、
それが一気になくなってしまいました。今後は本当に必要なものに参加しようという「リセットの機会」が与えられました。
また、webで開催されることで「時間と金を無駄にしなくて済む」ことにもなります。さっきまで手術をしていても10分後には
シンポジウムに参加できるかもしれません。日々の臨床で行けなかった学会にもwebなら参加可能です。
本来、学会、研究会の半分はwebで良いのではないかとさえ思います。
しかしながら、あまり日本では積極的に行われていません。AO foundationがAO webinarの回数を増加させていることとは対照的です。
この状況を好機と捉えないのは非常に残念です。
今回のCOVID をきっかけに、webでの情報交換にもっとシフトすべきと思います。
※湘南、札幌外傷研究所企画Web Seminar / meetingの一部です
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Vol.2 ★湘南鎌倉と札幌東の連携とは?★ (2020年4月20日更新)
私(土田芳彦)はセンター長として、昨年2019年4月より「湘南鎌倉総合病院外傷センター」と「札幌東徳洲会病院外傷センター」の
2つの施設を運営しています。この2つの施設がどのように運営されていると思われるでしょうか? 実は単に2カ所で治療をしているということ
ではなく、全ての事例は全く同一の方針で治療されています。
私は月曜日から水曜日までは「湘南鎌倉総合病院」で勤務し、木曜日から土曜日までは「札幌東徳洲会病院」で勤務していますが、
「治療マニュアル」を策定し、個別患者の治療計画書を事前に提出した上で特定の電子通信アプリ(WorkPlace)で事前討論し、
最終的にWeb カンファを開催しチェックするという具合です。
医療行為において「質のコントロール」は必須なのですが、「医師個別の問題」として、「あまり手がつけられていない」のが事実です。
真のpeer review(質の評価)など行われていません。一方、よく話題に上る「医療安全」ですが、「医療の質が確保される」と誤解されている
方もいると思いますが、「患者取り違え」「左右の違い」「薬剤投与の相違」などなどの「ごく基盤的な事項」を対象とするにとどまっています。
より根源的な「医療施術の質」に焦点を当てるべきだと、私は強く思います。どんなに手続きをしっかりしても、医療行為自体が未熟では本末転倒なのです。
私は、厳しい質のコントロールを死ぬまで続けていくつもりです!
「湘南鎌倉総合病院外傷センター」と「札幌東徳洲会病院外傷センター」でのより良い治療提供を、死ぬまで続けたいと思います。
Workplaceでのカンファレンス 札幌と鎌倉でのwebカンファレンス
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Vol.1 ★センター開設から1年が経過しました★ (2020年4月13日更新)
今回、「センター長通信」をHPに新設することにしました。
私たちの「整形外科外傷センターの活動」を少しだけ知ってほしいとの気持ちからです。
毎週月曜日に更新する予定ですので、よろしくお付き合い下さい。
ところで、この「整形外科外傷センター」は昨年4月に、ここ札幌東徳洲会病院に開設されたのですが、早1年が経過しました。
開設の経緯は色々であり、一言では語れるものではありません。追い追い記載していきたいと思います。
この1年間、救急隊から、そして近隣あるいは遠方の病院から、患者さんをご紹介いただき、1200例以上の手術をすることができました。
関係諸氏に改めて感謝申し上げます。
新しい年度を迎え、新しい仲間を迎え、ますます活動を活発化しようとしていた矢先ですが、不幸にも「COVID-19」が蔓延してきています。
いつしか収まり、平常を取り戻すことでしょう。それまで忍の一字です。
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